ホーム > 同窓会 > 俳句同好会 > 第19回「蘇鉄の会」ご報告と次回開催予告
(2021/10/17) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第19回「蘇鉄の会」報告
令和3年10月2日(土)、今回もWEB開催となった「蘇鉄の会」でした。外出自粛を余儀なくされる日々も長くなりましたが、そのような中で俳句を詠むことが、心をのびのびとさせてくれる思いがけない効果があることに、改めて気付かされます。
今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
………………………………………………………………………………………………
【選評と講評】 城下洋二 講師
≪兼 題≫
「霧」
<特選>
朝まだき霧笛幽かに夢に聞く 龍彦
夢うつつの中で聞く霧笛、旅情を感じます。
<並選>
霧晴るる沖の船場に鴎舞ひ 徹
船場は波止場のことなので、「沖の船場」は違和感があります。船場を網場もしくは漁場 としたら如何でしょう。
霧が晴れてくると、沖の漁場に鴎が群れており、魚群が来ている、今日も豊漁だといった 情景になります。
(添削) 霧晴るる沖の網場に鴎舞ひ
…………………………………………………
≪季 題≫
太陽のいつぱい詰まる柘榴の実 博石
柘榴の真紅の実を見ていると太陽の光が詰まっているようですね。見事な比喩です。
子規球場塁を巡るはアキアカネ 真砂
上野の子規球場、人気ない塁上に赤蜻蛉が群れている情景です。秋晴れの澄んだ空気とそこはかとない秋の寂しさを感じるのは私だけでしょうか。
正岡子規の句に
赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり
というのがあり、その句を重ねて読めば、重層的に読解できるところが面白いと思います。
新しき郵便受けに秋の雨 真砂
なんでもない光景ですが、真新しい郵便受け、銀色のものでしょうか、それとも塗料も新しい木箱か、それに秋の雨が当たり、水玉ができ、光っています。何かいい知らせでも運んできそうな気さえしてきます。日常のちょっとした心の弾みがさりげなく詠まれています。
縁側に蝉の亡骸日は陰り 徹
詠んでいる情景は眼に浮かびますが、「亡骸」と「日は陰り」の取り合わせは暗くなりすぎます。「日は陰り」を夕日の射した光景に変えたら光と影の対比が明瞭になります。
(添削) 縁側に蝉の亡骸夕日濃し
叱られて瀬戸の港の秋夕焼け 龍彦
叱られて家を飛び出し、埠頭で秋の夕焼けを見ている少年のやるせなさが伝わってきます。
糸瓜忌や我いつまでも伊予訛 孝枝
糸瓜忌と伊予訛の取り合わせはいいのですが、俳句は基本的に一人称の文学なので「我」は不要です。これを省くとぎくしゃくした日本語が滑らかになります。
(添削) 糸瓜忌やいまでも残る伊予訛
第19回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「霧」
朝まだき霧笛幽かに夢に聞く (4) 龍彦
霧せまり行き交ふ人みなしかめ面 (3) まさ
霧深き比叡の山に若き君 (1) 南行
人の世は諸行無常や霧の中 博石
大山に霧立ち上る雨上がり 良
朝霧に守られ帰る家出の孫(こ) 真砂
当季雑詠
糸瓜忌や我いつまでも伊予訛 (4) 孝枝
子規球場塁を巡るはアキアカネ (4) 真砂
友の逝く無聊の日々や夏去りぬ (3) 徹
太陽のいっぱい詰まる柘榴の実 (3) 博石
叱られて瀬戸の港の秋夕焼 (2) 龍彦
野に遊びふるさと恋し曼殊沙華 (2) まさ
稲架組みて天日に晒す稲穂かな (2) 博石
遠浅の潮満ちきたり大夕焼け (1) 龍彦
寅さんのごと仰向きて見る月見草 (1) 博石
縁側に蝉の亡骸日は陰り (1) 徹
満月や眩しき窓辺秋の風 (1) 南行
風さやか銀杏ひろい散歩道 良
汗ばみて日陰を抜ける初夏の風 南行
初秋の空山城の天守閣 孝枝
一斉に香り漂う金木犀 良
日足伸び暮るる日々や秋近し まさ
無縁坂儚き想ひの雁渡る 真砂
音絶えて梵鐘幽か秋の暮れ 龍彦
台風一過競り落とされし柘榴かな 南行
秋深し檸檬の香マティーニ 良
二科展やデフォルメの顔誰かに似て 孝枝
獺祭忌偲んでまつるはじき豆 まさ
秋彼岸宿す想ひは山野越へ 徹
【講 評】 城下洋二 講師
季重なり(季跨り)の句が二十四句中七句ありました。
季重なりを一概に駄目とは言いませんが、推敲すれば別の表現できるものがほとんででした。
例えば「月」と言えば秋で他の季節の月は「春の」とか「冬の」とか形容詞をつけるのが俳句の約束ですので「秋」の形容は不要です。
俳句は十七音しか使えませんのでなるべく重複表現を避け、季語を生かして表現したいことを十分に詠んでください。
季語か季語でないかを簡単に調べる方法があります。歳時記もしくは季寄せの総索引を調べることです。
総索引は五十音順に季語が並べてありますので、そこで季語を調べて、季節を確かめてください。
……………………………………………………………………………………………
第20回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2022年1月8日(土)
御題:兼題「雑煮」1句及び当季雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
集合時間及び場所:未定
投稿締切:2022年1月3日(月)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」参加申込:上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
コメント
名前 (必須)
メール (必須)※メールアドレスが公開されることはありません
コメントを残す