ホーム > 同窓会 > 俳句同好会 > 2023/04/08 第25回「蘇鉄の会」ご報告&次回第26回開催のご案内
(2023/04/09) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第25回「蘇鉄の会」報告
令和五年四月八日(土)、早くも新緑瑞々しい神代植物公園※(調布市)にて、当会初めての「吟行」を行いました。
今回の投句参加者11名(含む講師)、投稿句は全43句でした。
今回、北高同窓生(18期)1名が体験参加され、入会して下さいました。
兼題:「囀り」一句
季題:三句
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曇天を割って囀り降って来し
木の芽張る窓辺に熊のぬひぐるみ
山鳩の歩めば大地芽吹きゆく
木瓜は満開うかうかとしてをれぬ
城下洋二
令和五年四月
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【選句と選評】 講師 城下洋二
≪兼 題≫
吟行の兼題「囀り」
<特選>
囀りや諍いもあり恋唄も 龍彦
<並選>
囀りや時報の鐘に大合唱 小百合
さへずりにほゝえみ居たる悟堂かな 真砂
(悟堂…園内の林の一角に日本野鳥の会の創始者・中西悟堂の銅像がある。)
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≪当季句≫(春)
一点に光あつめて福寿草 龍彦
(講評)福寿草に光が当たり黄金色に輝く様子が見事にとらえられています。
ただ福寿草は早春の花ですが、季語としては新年の季語となります。
卒業歌練習の声校舎より 孝枝
(講評)卒業の光景ではなく、その準備の段階を句にしたところが新鮮です。
いかなごの煮られてへのへのもへじかな 博石
(講評)くぎ煮の様子をひょうきんに表現して、面白い。
いつの日も心安らぐ桜かな 良
(講評)桜に対して人それぞれの思いがありますが、作者はいつも安らぎを
感じている、それを素直に表現されて素晴らしい句になっています。
蕗味噌を味わう齢酒美味し 龍彦
(講評)蕗味噌など若い時はあまり美味しいと思はなかったのですが、
年取るとともにその味わいが分かってきます。酒の味もまた。
花疲れ吉野の山の七曲り 博石
(講評)花疲れは花見で歩き疲れた様子を表しますが、花疲れと七曲りとを
取り合わせますと、所謂付き過ぎな感じになります。ここでは季語
を「花霞む」「飛花落花」などとしてはいかがでしょうか。
(添削例)花霞む吉野の山の七曲り
花盛り小枝くわえた烏かな 南行
(講評)花盛りを巣作りにいそしむ鴉が小枝くわえて飛んでゆく光景は自然
の営みを感じる景の一つです。ただ口語と文語が入り混じっている
ので、整理しましょう。
(添削例)花盛り小枝くはへし烏ゆく
満作に風吹きぬけり散歩道 徹
(講評)満作の花は本当に春を感じさせますが、また同時に早春の冷たい風
にも吹かれます。
柔らかな雨降る春や花誘う まさ
(講評)「春」と「花」は季重なりなので語順を変えて避けましょう。
(添削例)花誘ふやわらかな雨降って来し
(参考)
雨上がり久しき顔の花見かな 小百合
(講評)作者の読みたいことはコロナ禍で外出自粛していた人たちが、花見
で久々に顔を合わせたことですね。俳句は十七文字なので言いたい
ことに焦点を絞って詠むことが大切です。そうしないと焦点がぼや
けたり、説明的になったりします。
(添削例)久々に会う人ばかり桜狩り
道灌の越生晴れ野に山吹草 真砂
(講評)道灌と越生、道灌と山吹の故事を織り込んでいますが、ちょっと知
識過剰気味です。また「晴れ野」というのは造語なので避けたい。
越生と道灌が関係あるというのはそんなに有名ではなく、また山吹
の故事はいたるところに比定地がり、例えば新宿区の山吹町など、
自分のためだけに作句ならいいのですが、発表となると故事がそれ
なりの認知度がないと伝わりませんので気を付けてください。
(添削例)晴れ渡る越生の野には山吹草
第25回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数・講師選含む
兼題「囀り」
囀りや諍いもあり恋唄も (3) 龍彦
囀りて時報の鐘に大合唱 (2) 小百合
囀りや友と語らふ森の中 (1) 博石
風に乗り囀る主やいずこかな (1) まさ
亡き友と調べたあの日の囀りに (1) 真智子
曇天を割って囀り降って来し (1) 洋二
囀りに憂ひは晴れし森の精 (1) 徹
さへずりに微笑み居たる悟堂かな (1) 真砂
囀りや煩き程に冴え渡る 良
囀りて騒ぐ梢枝やそよぐ風 南行
当季句
花疲れ吉野の山の七曲り (4) 博石
一点に光あつめて福寿草 (4) 龍彦
いかなごの煮られてへのへのもへじかな (3) 博石
しきりなる落花にむせぶ地蔵様 (2) 博石
蕗味噌を味わう齢酒美味し (2) 龍彦
花盛り小枝くわへた烏かな (2) 南行
満作に風吹き抜けり散歩道 (2) 徹
やわらかな雨降る春や花誘ふ (2) まさ
道灌の越生(おごせ)晴れ野に山吹草 (2) 真砂
いつの日も心安らぐ桜かな (1) 良
卒業歌練習の声校舎より (1) 孝枝
花散りて緑はつらつ桃の枝 (1) 小百合
百(もも)年(とせ)とこども図書館花の舞ふ (1) 真砂
春の雨旅立つ友の寂しさよ (1) 良
雨上がり久しき顔の花見かな (1) 小百合
藏澤の竹の絵古し春日差し (1) 孝枝
目に沁みる若葉の匂ひ湯のけむり (1) 南行
時満ちて旅にしあれば菜種梅雨 (1) 徹
巣立ちあり足踏みありの湯島かな (1) 真砂
限り無く樹木の芽吹く神の森 孝枝
早春や願い叶ひて深大寺 良
雨上がり笑顔が並ぶ花の雲 南行
三年に及ぶマスクや杉の花 徹
山の春緑のトンネルくぐる君 まさ
「嘘っそう」と早春の朝顔濃紫 龍彦
春陽気ブーツ仕舞いて日傘出す 小百合
春灯や霞む街並み絵のごとし まさ
第26回「蘇鉄の会」ご案内
開催日時:2023年7月8日(土)13:00~16:30
選評講師:城下洋二先生
御題:兼題「噴水」1句
当季(夏)雑詠3句 計4句
投句締切:2023年7月1日(土)
投句方法:兼題1句と当季雑詠3句の計4句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿をお願いします。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
開催場所:向島百花園
集合場所:東武伊勢崎線「東向島駅」7月8日(土)12:30集合
( 向島百花園へ直接行く場合は事前にお知らせください。)
当日会費: 3,000円(昼食代含む)
「蘇鉄の会」参加を随時受付けています。
上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
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