ホーム > 同窓会 > 俳句同好会 > 2024/07/06 第30回「蘇鉄の会」ご報告&次回第31回開催のご案内
(2024/07/08) 担当:長尾 小百合(事務局・会計担当 30期)
俳句同好会 第31回「蘇鉄の会」報告
令和6年7月6日(土)12:30~小石川後楽園にて夏の句会を開催しました。7月に入ったばかりだというのに東京都心の最高気温は34度超え。それでも会場の涵徳亭の日本間から眺める青々とした緑が揺れる風景が涼し気で心を穏やかに句会を進めることができました。
今回の投句参加者名(含む講師)、投稿句は全32句でした。
兼題:「鬼灯市」または「四満六千日」1句
季題:3句
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【城下洋二先生投句】
鬼灯市売り声高く水を遣り
よく晴れて川濁りたる小暑かな
父の日の坊ちやん団子卓の上
梅雨雲の白き日輪青菜畑
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【選句と選評】 講師 城下洋二
<特選>
験直し鬼灯市に出かけんか(博石)
七月十日は浅草観音の四萬六千日にあたる。 鬼灯市に行って観音様にお参りして、そのご利益にあやかろう、 最近の不運な出来事を打ち払おうといううのである。 直截な表現がかえって新鮮である。 「出かけんか」は文語では「出かけむか」。
短夜や覚めて幾度も時計見る(小百合)
明日大事な用事でもあるのだろうか。寝なければと思うほど、 夜中にたびたび目覚めて、熟睡できない。短夜はもう明けそうである。 実感がよく出ている。
控え目のアロハシャツ着て外出す(勝利)
「控え目の」のフレーズで作者の心の動きがよくわかる。 おしゃれをしたいが、年の割には派手過ぎるかなどと気にしながら、 アロハシャツを着て外出する姿が目に浮かぶ。
さざ波の代田に揺るる山の影(小百合)
よく晴れた日だろう。水を張ったばかりの代田にそよ風が渡り、 山の影が映っている光景が浮かぶ。大きな景を過不足なく描写している。
ゆらゆらり藪蚊は腫れた腹かかへ(真智子)
たっぷり血を吸った藪蚊が酔っぱらいのようにふらふら飛んでいるのを、 ユーモラスに描写して、秀逸である。
<並選>
若竹や衣脱ぎ捨て天を突く(まさ)
竹皮を脱ぎ、若竹がまっすぐ伸びるさまは清々しく、 まさに天を突く感じだ。
ジャカランダ香りほのかに遍路道(真砂)
ひなびた遍路道にそそり立つジャカランダの青紫の花が 目に浮かんでくるのだが、 ジャカランダが季語として定着しているかどうかは不明である。
万緑の上雲白く流れゆく(南行)
万緑と白い雲の取り合わせはきれいな情景だが、 雲は上にあるので「上」は不要。 (参考)万緑や真白き雲の流れゆく
大慌て逃げる蜥蜴の尾の細さ(真智子)
このままでもいいが、あえて擬人化せずに作ると次のようになる。 (参考)草叢へ逃げ込む蜥蜴尾の細き
手毬花色とりどりの電車道(まさ)
情景は見えるのだが、「電車道」は相撲用語なので、 線路とか鉄路を使う方がいい。 (参考)線路沿い色とりどりの手毬花
鬼灯を頬張る遠き海青し(南行)
鬼灯市は夏の季語だが、鬼灯となると秋の季語となる。 ただ鬼灯の赤と海の青の取り合わせがきれいなので 秋の句として出すとよい。 また鬼灯を鳴らすのは「頬張る」のではなく、 「含む」或いは「鳴らす」ではないか。 (参考)鬼灯をふふむ遥かな海青し
紫陽花や裏木戸まはり華やかに(良)
光景はわかるのですが、すべて言ってしまっているので、 読み手に想像の余地を与えない。 (参考)紫陽花の裏の木戸より出かけけり
第30回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数・講師選含む
兼題:「鬼灯市」または「四満六千日」
四万六千日父母に供える米を研ぐ (3) 真智子
四万六千日懐かしきかな大山寺 (0) 良
験直し鬼灯市に出かけんか (4) 博石
空仰ぎ鬼灯市に父母想う (0) 小百合
ほおずきや明かりを灯す夜市かな (0) まさ
鬼灯を頬張る遠き海青し (1) 南行
三和土には鬼灯市のみやげあり (2) 真砂
鬼灯市浴衣で繰り出す江戸ごよみ (1) 勝利
当季句:夏
風薫る羽織にリュックの彼行く (0) 真智子
夏空や話題満載同窓会 (1) 良
雨上がり笑顔の空や合歓の花 (2) 博石
短夜や覚めて幾度も時計見る (1) 小百合
若竹や衣脱ぎ捨て天を突く (4) まさ
正宮に立つ身をよぎる夏の風 (1) 南行
朝日射す植田の水面風渡る (1) 真砂
控え目のアロハシャツ来て外出す (3) 勝利
大慌て逃げる蜥蜴の尾の細さ (2) 真智子
紫陽花や裏木戸まわり華やかに (1) 良
くちなしに顔近づけて香り嗅ぐ (1) 博石
さざ波の代田に揺るる山の影 (5) 小百合
手毬花色とりどりの電車道 (3) まさ
万緑の上雲白く流れゆく (2) 南行
鬼百合の群れてそよぐや浄瑠璃寺 (0) 真砂
遠き日のラジオ体操盛夏待つ (0) 勝利
ゆらゆらり藪蚊は腫れた腹かかえ (2) 真智子
梔子や香満々雨上がり (0) 良
牡丹濡れガラスのような花弁かな (2) 博石
日照り雨長靴履く子のはしゃぐ声 (0) 小百合
遊び草風と戯れ右左 (0) まさ
空海や開眼の月ジオパーク (1) 南行
ジャカランダ香りほのかに遍路道 (3) 真砂
帰省して夏座布団を折って寝る (2) 勝利
第31回「蘇鉄の会」ご案内
開催日時:2024年10月11日(金)13:00~(予定)
選評講師:城下洋二先生
御 題:兼題「月」1句
当季(秋)雑詠3句 計4句
投句締切:2024年10月1日(火)
投句方法:兼題1句と当季雑詠3句の計4句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿をお願いします。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
nagao@work21.co.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
開催場所:清澄庭園「涼亭」
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