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(2024/10/12) 担当:長尾 小百合(事務局・会計担当 30期)
俳句同好会 第31回「蘇鉄の会」報告
令和6年10月11日(金)秋晴れの天気の中、清澄白河庭園の涼亭にて秋の句会を開催。3方がガラス張りの窓に囲まれた室内からは紅葉にはまだ少し早い青々とした木々を眺めることができました。涼亭は池の中にせり出した形で建っていて池の水が日の光に反射して室内の天井に映ります。ゆらゆらと揺れているやわらかな光を感じながらの風情ある句会となりました。
今回の投句参加者10名(含む講師)、投稿句は全40句でした。
兼題:「月」一句
季題:「秋」三句
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【城下洋二先生投句】
昼酒の酔ひ残りたる盆の月
風切つて蜩の空帰りけり
天高し浅間山へ雲の急げども
菜園のきちきちばつた手に包む
城下洋二
令和6年10月
【選句と選評】 講師 城下洋二
<特選>
老夫婦酒を嗜む月夜かな(良)
情景が目に浮かびます。 「飲む」ではなく「嗜む」としたところが 品格のある老夫婦像を想像させます。
島の海流れ込むなり天の川(小百合) 景が大きくて素晴らしいのですが、 この表現だと海が天の川に流れ込むようにと られかねないので。上下入れ替えてはいかがでしょう。 (参考)天の川流れ込みたる島の海
線香の匂ひかすかに秋の風(南行)
お彼岸のお墓参りでしょうか。 残暑のなか線香の香りの混じった風に ふと秋を感じたという繊細な句です。
電線は五線譜歌うは秋雨(真智子)
面白い発想です。 ただ、原句はかなり破調になっており、 語調を整えてみました。 (参考)電線は五線譜歌ふ秋の雨
<並選>
彼岸花馬頭観音寄り添ひて(博石)
情景は見えるのですが、 野の仏と彼岸花の取り合わせは多いので、 一工夫必要です。
赤とんぼ群れる草地の重機かな(真智子)
開発の波が押し寄せている現代の風景です。
夕日射る真夏の瀬戸や墓参り(徹)
夕凪の瀬戸内海、いかにも暑そうですね。
鈴成りやムラサキシキブ石山寺(真砂)
下五を字余りにすると、 句のリズムが整いにくいので、 下五と上五を入れ替えたほうがいいです。 ただ石山寺と紫式部は付き過ぎの感があります。 (参考)石山寺ムラサキシキブ鈴生りに
放たれぬ赤耳亀よ月とおれ(勝利)
多分作者の意図と異なると思うのですが、 亀は人に、月は地球にそして自分も・・ 囚われの身だと解釈すると面白い句になります。 (参考)囚われの赤耳亀と月と俺
老骨や月を肴に酒を飲む(まさ)
卑下して言っているのでしょうが、 「老骨」はこの場合適切ではないので 次のようにしてはいかがでしょうか。 (参考)老いてなほ月を肴に酒を酌む
橋渡るブラウス白し月明り(小百合) 月光の明るさをブラウスの白さで 表現したところが素晴らしい。 ただブラウスが白いのは月明りのせいだと 種明かしをしているので余情が乏しくなっています。 季語を変えてみてはいかがでしょうか。 (参考)橋渡るブラウス白き今日の月
第31回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数・講師選含む
兼題「月」
真鍮の飛蝗も鳴くか小望月 (0)真智子
老夫婦酒を嗜む月夜かな (1)良
ビル街に傘をかぶった後の月 (0)博石
橋渡るブラウス白し月明り (3)小百合
日の本や災禍宿りし月今宵 (2)徹
老骨や月を肴に酒を飲む (2)まさ
月は天雲を破って龍昇る (1)南行
山の端に月満ち出づや団子蒸す (3)真砂
放たれぬ赤耳亀よ月とおれ (1)勝利
当季句「秋」
低き雲にわかに燃える夕焼けかな(0)真智子
秋深し遠き故郷同窓会 (0)良
彼岸花馬頭観音寄添ひて (3)博石
島の海流れ込むなり天の川 (1)小百合
枝葉揺る沢の音清し菖蒲園 (0)徹
天高く一筋の群雁わたる (0)まさ
線香の匂いかすかに秋の風 (4)南行
秋日和街角カフェの椅子に猫 (3)真砂
神無月最後の朝顔弦伸ばす (0)勝利
赤とんぼ群れる草地の重機かな (6)真智子
何気なく銀杏ひろい秋を知る (0)良
秋祭り男の汗や鉢合わせ (1)博石
白粉の花をちぎりてラッパ吹く (3)小百合
短夜や寝不足嵩むパリ五輪 (1)徹
田舎道畔に整列曼珠沙華 (2)まさ
那智の滝思い起こせど秋暑し (0)南行
新駅舎だんだん通りに青蜜柑 (0)真砂
遅咲きの豆朝顔も色移す (0)勝利 電線は五線譜歌うは秋雨 (1)真智子
秋祭り神輿宮だし朝六時 (1)良
天辺から浮世見下ろす百舌鳥の黙(1)博石
夜食する後ろめたさや握り飯 (2)小百合
夕日射る真夏の瀬戸や墓参り (2)徹
稲雀電線止まりて機会待つ (1)まさ
大潮に引き摺り込まれ秋彼岸 (0)南行
鈴成りやムラサキシキブ石山寺 (2)真砂
雨台風気もそぞろなり古河童 (0)勝利
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第31回「蘇鉄の会」ご案内
開催日時:2025年1月11日(土)12:00~
選評講師:城下洋二先生
御題:兼題「門松」1句
当季(冬)雑詠3句 計4句
投句締切:2024年12月26日(金)
投句方法:兼題1句と当季雑詠3句の計4句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿をお願いします。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
nagao@work21.co.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
開催場所:築地 ボン・マルシェ 東京都中央区築地4-7-5 築地KYビル 2F
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