ホーム > 同窓会 > 俳句同好会 > 第32回「蘇鉄の会」ご報告&次回第33回開催のご案内
(2025/01/13) 担当:長尾 小百合(事務局・会計担当 30期)
第32回の蘇鉄の会はイタリアンレストラン築地ボンマルシェにて開催。
美味しい料理を味わいつつ、句会を楽しみました。
今回の投句参加者10名(含む講師)、投稿句は全40句でした。
兼題:「門松」一句
季題:「冬」三句
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【城下洋二先生投句】
門松や門扉に続く白き砂
黄落や壁にホルンと古ギター
風呂吹きや男やもめの夕ごはん
墨東の胡蝶の群るる小春かな
城下洋二
令和7年1月
【選句と選評】 講師 城下洋二
<特選>
蠣棚や夕日に染まる能登の海(小百合)
蠣棚の浮かぶ能登の海は昔に変わらず穏やかだが、 目を陸に転じると一年前の地震の爪痕が残っている。 震災後一年だからこそ余計に身に染む句である。
鮟鱇や仏頂面の下足番(真智子) 昔からの鮟鱇鍋屋さんであろう。年老いた下足番が ぶっきらぼうに木の札を渡す光景が目に浮かぶ。 上五の鮟鱇だけでもわかるが、 鮟鱇鍋としたほうが分かりやすいと思う。
土踏みて微かに気づく冬の声(南行) 土の下の小さな霜柱でも踏んだのか、 いつもと違う土の感触に冬を感じたという繊細な句である。
<並選>
門松の影も僅かに伸びる今日(真智子)
冬至を過ぎると一日一日影が伸びてくるが、その春が近づく気配を 門松に影に感じたという、着眼点がすばらしい。 ただ影はその日だけ伸びるのではなく毎日毎日伸びるので 参考例のように直したほうがいいのではないか。 (参考)門松の影も日毎に伸びてきし
門松や見上げる空は青く澄む(博石)
気持ちのいい句だが、空は見上げるものなので見上げるは不要。 俳句は短いので極力重複する語は避けるのが望ましい。 (参考)門松やどこまでも空青く澄み
二十年毎年同じ年賀状(良)
年賀状を惰性でだしているようで、 昨今の年賀状離れを風刺しているようで面白い。
君が蹴るボールの行方雪の跡(まさ)
お孫さんとでも遊んでいるのだろうか。 新雪でボールを蹴ると雪だるまのようになり、 一瞬見失うが、その転がった後だけはくっきり残る。
実朝の無念の坂や寒椿(南行)
鶴ケ岡八幡の坂に実朝の暗殺を暗示するように 真紅の寒椿が咲いている。季語が生きている。
煌々と山地に海に冬の月(真砂)
大きな景を読んでいいのだが、月が煌々という表現は 常套的なので避けた方がいい。思い切って冬満月としたら この句の月の感じが出るのではないですか。 (参考)海に山に冬満月の光満つ
熱燗に眼鏡くもりて照れ笑い(小百合)
熱燗で眼鏡が曇るというのは、確かに照れ臭い。 面白いところを句にしている。
ひだまりの高き梢にひよつがい(勝利)
のどかな風景を描写していいのだが、鵯の繁殖期は5~9月で つがいになるのほ繁殖期だけ。そして鵯は秋の季語なので 冬の光景として参考例のようにしてはいかがですか。 (参考)小春日や高き梢に二羽の鵯
日記買ふ余白埋めるや如何にせむ(徹)
年老いてくると日記に書くほどのことがあまりないので 困ってしまうのはよく分かる。私などは多分「今日はこともなし」と してしまうのだが、作者はそれでは気が済まないのであろう。 作者の個性が出ていて面白い。
第32回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数・講師選含む
兼題「門松」
門松の影も僅かに伸びる今日 (2)真智子
門松や松は緑に竹は青 (1)良
門松や見上げる空は青く澄む (2)博石
門松の緑鮮やか初の朝 (0)小百合
門松や靴勢ぞろい順を待つ (2)徹
門松や心新たに身を正す (1)まさ
門松に賑わう家族鉄のドア (1)南行
門松に雀と猫ら聚まりて (1)真砂
門松の竹の切り口目もあやか (1)勝利
当季句「冬」
新築に響く〃亥の子〃の声揃い (2)真智子
初雪や運転免許更新日 (0)良
真鴨ゆく緑の鶏冠傾げつつ (0)博石
懐手家路急がす暮れの風 (2)小百合
賀状書く亡き友偲び老いを知る (1)徹
眠らずに灯りを灯す木守柿 (1)まさ
夜半の時雨朝陽射す蔦の宿 (0)南行
大根葉煮ても漬けても滋養かな (1)真砂
みかん刺しめじろ来るやも春冬至(0)勝利
つなぐ手固し白髪に銀杏降る (0)真智子
二十年毎年同じ年賀状 (2)良
ほどほどに八十路楽しむ鮟鱇鍋 (2)博石
牡蠣棚や夕日に染まる能登の海 (5)小百合
ハチ公前行列長し冬の暮れ (0)徹
君が蹴るボールの行方雪の跡 (3)まさ
実朝の無念の坂や寒椿 (2)南行
煌々と山地に海に冬の月 (1)真砂
ひだまりの高き梢にひよつがい (1)勝利 鮟鱇や仏頂面の下足番 (2)真智子
若者が二人並んで初詣 (1)良
刻一刻時間身に浸む年の暮れ (0)博石
熱燗に眼鏡くもりて照れ笑い (2)小百合
日記買ふ余白埋めるや如何にせむ(1)徹
裸木や新芽育む寒き風 (2)まさ
土踏みて微かに気づく冬の声 (4)南行
干し柿の熟れ時待つか鴉二羽 (1)真砂
ふるさとは短日の陽の洩るあたり(1)勝利
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第33回「蘇鉄の会」ご案内
開催日時:2025年4月6日(日)10:50集合~16:00頃解散
選評講師:城下洋二先生
御 題:兼題「菜の花」 1句 当季(春)雑詠 2句 当日の吟行 1句 計4句
投句締切:2024年3月27日(木)
投句方法:兼題1句と季題2句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿をお願いします。 下記メールアドレスまでお送りください。 nagao@work21.co.jp ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
開催場所:調布市「神代植物公園」
集合場所:JR三鷹駅 中央改札口正面 JRみどりの窓口前 集合時間:午前10時50分 ⇒ 11:05発「深大寺」行きバス ⇒ 11:30頃着 (当日、上記時間に間に合わない場合は、長尾までご連絡ください)
参加費用:食事代:2,000円程度 入園費250円(シルバー料金) 年 会 費:5,000円 ………………………………………………………………………………………………
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