(2022/04/11) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第21回「蘇鉄の会」報告
令和4年4月9日(土)午後12時過ぎより、2年ぶりに「蘇鉄の会」を築地にて開催しました。
今回から、北高30回期卒の新しい会員も1人加わり、久々に賑やかな嬉しい集まりとなりました。
築地の美味しい海産物料理のランチを頂いた後は、マスクを付けての句評会でしたが、久しぶりの楽しい会話のひとときを過ごすことができました。
句会を終えた午後2時過ぎころから1時間余り、築地をわが庭とする宮下幹事長の案内で築地界隈のさくら見物巡り、オオシマザクラ、ウコンザクラ、御室桜などを堪能し、隅田川沿いの散策ロードをゆっくり歩き、この2年間のコロナ自粛で弱りかけた足の鍛錬もすることができました。
今回の参加は、講師を含む投稿者10名、全40句でした。
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(城下先生 投句)
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【選評と講評】 城下洋二 講師
≪兼 題≫
「蛙」
<特選>
悪戯っ子机の上に置く蛙 博石
蛙の句として新鮮な情景を切り取っている。
<並選>
療養所湖面に響く牛カエル 龍彦
ウシガエルの鳴き声は独特で、湖面に響くという表現がぴったりだ。
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≪当季句≫
<特選>
遊山箱出してうれしや雛荒らし まさ
雛荒らし、遊山箱というローカルな言葉を使い、雛祭の頃の弾んだ
気持ちが生き生きと表現されている。
春愁や首に冷たき首飾り 孝枝
春愁と首飾りの感触の取り合わせがうまい。
風花や荒ぶる海に伊根の宿 南行
舟屋を改造した宿屋なのだろう。風花の舞う日本海の荒ぶる海が
目に浮かぶ。また伊根は浦島伝説の場所なので浦島太郎が帰って
きた時の寒々とした感情と冬の光景が重なってその地名が生きて
いる。
<並選>
居酒屋に賑はひ還る春の宵 徹
コロナの蔓延防止措置が解除になった現在を過不足なく詠んでいる。
長竿に浮かぶ小舟の寒しじみ 南行
情景が目に浮かぶが、「長竿に浮かぶ」というのは分かりにくいので
長竿で刺しゆく小舟寒しじみ」
としては如何でしょう。
寒鮒の跳ねて波紋の広がりぬ 博石
静かな寒鮒釣りの様子が目に浮かぶ
春雨や枝に真珠の首飾り まさ
春の細かい雨の感じが表現できている。
<添削例>
雨蛙どこに行ったかとんと見ぬ 良
蛙の中で雨蛙と蟇蛙は夏の季語。この句は説明し過ぎなので、
「とんと見ぬ」を削り、雨蛙が見られないことの思いを足した
方がよくなると思う。
(例) 雨蛙どこへ行つたかさびしいぞ
蛙見てこわごわ伸ばす幼い手 小百合
手を伸ばす以上蛙は見えているので「見て」は省くと、
少し散文的ではなくなる。
(例) こはごはと蛙へ伸ばす幼き手
初蛙庭石に乗る夜明けかな 真砂
この並びだと夜明けが主となるので、初蛙を主にした方が句として
すっきりとすると思う
(例) 夜が明けてゆく庭石に初蛙
孫ライン花冷えの日に書店訊く 真砂
「孫ライン」は日本語としてこなれてないので「孫よりのライン」
とはっきり表現すべき。またこの語順だと窮屈な感じがするので、
並び替えてみた。
(例) 書店訊く孫よりのライン桜冷え
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第21回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「蛙」
蛙見てこわごわ伸ばす幼い手 (5) 小百合
雨蛙どこに行ったかとんと見ぬ (1) 良
悪戯っ子机の上に置く蛙 (1) 博石
療養所湖面に響く牛カエル (1) 龍彦
初蛙庭石に乗る夜明けかな (1) 真砂
遠蛙鳴きて懐かし母の家 孝枝
ケロケロと蛙の里は恋しきり 徹
暖かき庭の隅ゆくヒキガエル まさ
うとうとと鮭の面とにらめっこ 南行
当季句
六地蔵赤き前掛け春隣り (3) 博石
早春や鳥のさえづり木々を縫ひ (3) 徹
崖上の白梅蒼天つらぬけり (3) 龍彦
居酒屋に賑はひ還る春の宵 (3) 徹
春愁や肌に冷たき首飾り (3) 孝枝
三月の雪にびっくり指凍る (2) 小百合
院庭に花咲き乱れ天仰ぐ (1) 南行
春近し接ぎ木芽を出す暖かさ (1) 良
雲母坂登り切りたる春遠し (1) 真砂
春雨や枝に真珠の首飾り (1) まさ
寒鮒の跳ねて波紋の広がりぬ (1) 博石
風花や荒ぶる海に伊根の宿 (1) 南行
蒲公英を上から撮影まるでお日さま (1) 小百合
八丈の紬着けたる鶫(つぐみ)かな (1) 博石
大阪場所新風吹けり千秋楽 (1) 龍彦
春の日にひねもすのたり猫寝たり (1) 真砂
すずかけの実ゆれており春の風 龍彦
木々の芽の競いていたり神の森 孝枝
遊山箱出してうれしや雛荒らし まさ
桃過ぎてあっという間に桜過ぎ 小百合
寒さゆえますます美味なり干し大根 良
春一番少女は髪をなびかせて 孝枝
啓蟄の声は聴けどもまだ寒し まさ
桜咲き別れの季節もの悲し 良
訪れは河岸に小舟は花の園 徹
長竿に浮かぶ小舟や寒しじみ 南行
孫ライン花冷えの日に書店訊く 真砂
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第22回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2022年7月8日(金)13:00~16:30
御題:兼題「青梅」1句及び当季雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
開催場所:清澄庭園 13:00集合
都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線「清澄白河」(E14・Z11)駅下車 徒歩3分
https://www.city.koto.lg.jp/spot/kiyosumi.html
参加費用:昼食代含め4,000円程度
投稿締切:2022年6月28日(火)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句の計4句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」参加申込:上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
尚尚
(2022/01/09) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第20回「蘇鉄の会」報告
令和4年1月8日(土)、築地にて久々に集合開催の予定でしたが、直前に新型コロナ・オミクロン株急拡大が顕著となったため急遽予定変更となり、今回もWEB開催となりました。
元旦は美しい抜けるような青空の拡がりを見せた年明けとなりましたので、今年は、この人類に課せられた困難な事態も次第に晴れて明るい年になっていくことでしょう。
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(城下先生 投句)
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【選評と講評】 城下洋二 講師
≪兼 題≫
「雑煮」
<特選>
憂きことも佳きこともあり雑煮食ふ 龍彦
一定の年齢にならないと作れない俳句。もちろん若くても詠めますが、実感が伴わないので気障に聞こえます。
<並選>
お雑煮や瀬戸の香残るいりこ出汁 博石
お雑煮は全国百種以上あるそうですが、いりこ出汁は瀬戸内のものかもしれません。懐かしいと言わずに具体的に「いりこ出汁」と言ったところが素晴らしい。
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≪当季句≫
<特選>
穭田に石投げてみる初氷 博石
穭(ひつじ)田(た)は秋、初氷は冬の季語ですが、この句の場合、明らかに初氷が主と分かるので問題ありません。荒涼とした穭田の水たまりと思しきところに石を投げてみる。案の定乾いた音がする。初氷だ。少年の頃の弾んだ心が蘇る。
急激に体に堪へる冬が来た 良
口語と方言が生きた句。これを文語にして「急激に体に堪ふ冬来たる」とすると臨場感が薄れる気がします。
寒き朝横目で睨む雀かな 南行
私は四十年ぐらい毎朝雀に餌をやっているのですが、雀は警戒心が強く、その眼光は意外と鋭く、時に恐竜の子孫を思わせます。寒い朝ふと雀と目が合った瞬間をよくとらえています。
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<並選>
円空仏供へる柿は一つなり 龍彦
素朴な円空仏には沢山の贅沢な供え物ではなく、そこいらに生っている柿一つが似合うという趣旨なのでしょうが、表現が少し見えを切っているように感じられるので、次のようにされた方が自然な気がします。
(添削) 円空仏に柿ひとつ供へけり
ささ鳴きや小枝を揺らす訪問者 まさ
鶯の姿はなかなか見つけ難いものですが、枝から枝へ細かく動き回るので、見当がつきます。ただ「訪問者」とまで言わなくてもいいのではないでしょうか。
(添削)ささ鳴きや藪の小枝を揺らしをり
友逝けり君亡き年も暮れゆかむ 龍彦
「友逝けり」と「君亡き」とは同じことを言っているので、どちらかを省いた方がいいです。私も友人を失くすことが増えてきましたので、その心情は良く分かります。今年は晴天が多かったので次のようにしたら如何でしょう。
(添削) よく晴れて君亡き年も暮れゆかむ
春迎ふ家族そろひて猫は膝 真砂
三段切れでリズムがぎくしゃくしているので、次のように整理しては如何でしょうか。こうすれば猫も家族の一員というのが分かると思います。
(添削) 初春の家族そろひて膝に猫
魚河岸の年の瀬馳せるターレかな 徹
年の瀬の忙しい魚市場の様子が目に浮かびます。
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第20回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「雑煮」
お雑煮や瀬戸の香残るいりこ出汁 (3) 博石
憂きことも佳きこともあり雑煮食ふ (2) 龍彦
母作りし丸餅雑煮懐かしき (1) 孝枝
雑煮こそ白味噌仕立て京(みやこ)なれ (1) 真砂
故郷の雑煮懐かし餡子餅 良
この味に舌鼓する雑煮かな 南行
初雑煮搗きたる餅の今むかし 徹
当季句
犬引きて犬に引かれて冬の朝 (4) 南行
穭(ひつじ)田(だ)に石投げてみる初氷 (3) 博石
魚河岸の年の瀬馳せるターレかな (3) 徹
薄の穂水面を荒らす鳥羽の雨 (2) 南行
人待ちの上野駅舎に寒すずめ (2) 真砂
「駅馬車」に思ひ出尽きぬ夜長かな (1) 博石
若き日のセーター解きて糸となる (1) 孝枝
冬空に飛行機雲一直線 (1) 良
冬木立電飾の枷かがやかせ (1) 孝枝
つかの間の心に染みる冬夕焼 (1) まさ
友逝けり君亡き年も暮れゆかむ (1) 龍彦
几帳面元旦に咲くシクラメン (1) 良
いつの間にセーターの胸乙女さぶ (1) 孝枝
木枯らしや風船のごと枯れ葉舞う (1) まさ
鳥三羽木守りの柿に集いをり (1) 龍彦
寒き朝横目で睨む雀かな 南行
Go To の旅はいずこへ月望む 徹
急激に体に堪へる冬が来た 良
ささ鳴きや小枝を揺らす訪問者 まさ
春迎ふ家族そろひて猫は膝 真砂
円空仏供へる柿は一つなり 龍彦
山粧ふ心粧ふと異ならず 博石
人だかり園池の亀の日向ぼこ 徹
あかねさす朝の斑(むら)雲(くも)大晦日 真砂
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【講 評】
城下洋二 講師
俳句の主な要素は素材、構成、表現です。
いい素材(テーマ)でも構成によって読者へのインパクトが違いますし、表現によって訴える力が変わります。
素材が一番際立つ構成と表現を磨いてください。
そのためには「懐かしい」ならどんなことが懐かしいのか、「思い出す」ならどんなことを思い出すのかを明確にすることが大事です。
抽象的でなく所謂「ものに語らせる」ことが大事です。
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第21回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2022年4月9日(土)12:00~
御題:兼題「蛙」1句及び当季句3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
集合場所:築地フェリック社 11:30集合
「ボンマルシェ」(イタリアンレストラン)へ移動
投稿締切:2022年4月2日(土)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」参加申込:上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
(2021/10/17) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第19回「蘇鉄の会」報告
令和3年10月2日(土)、今回もWEB開催となった「蘇鉄の会」でした。外出自粛を余儀なくされる日々も長くなりましたが、そのような中で俳句を詠むことが、心をのびのびとさせてくれる思いがけない効果があることに、改めて気付かされます。
今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
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【選評と講評】 城下洋二 講師
≪兼 題≫
「霧」
<特選>
朝まだき霧笛幽かに夢に聞く 龍彦
夢うつつの中で聞く霧笛、旅情を感じます。
<並選>
霧晴るる沖の船場に鴎舞ひ 徹
船場は波止場のことなので、「沖の船場」は違和感があります。船場を網場もしくは漁場 としたら如何でしょう。
霧が晴れてくると、沖の漁場に鴎が群れており、魚群が来ている、今日も豊漁だといった 情景になります。
(添削) 霧晴るる沖の網場に鴎舞ひ
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≪季 題≫
<特選>
太陽のいつぱい詰まる柘榴の実 博石
柘榴の真紅の実を見ていると太陽の光が詰まっているようですね。見事な比喩です。
子規球場塁を巡るはアキアカネ 真砂
上野の子規球場、人気ない塁上に赤蜻蛉が群れている情景です。秋晴れの澄んだ空気とそこはかとない秋の寂しさを感じるのは私だけでしょうか。
正岡子規の句に
赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり
というのがあり、その句を重ねて読めば、重層的に読解できるところが面白いと思います。
新しき郵便受けに秋の雨 真砂
なんでもない光景ですが、真新しい郵便受け、銀色のものでしょうか、それとも塗料も新しい木箱か、それに秋の雨が当たり、水玉ができ、光っています。何かいい知らせでも運んできそうな気さえしてきます。日常のちょっとした心の弾みがさりげなく詠まれています。
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<並選>
縁側に蝉の亡骸日は陰り 徹
詠んでいる情景は眼に浮かびますが、「亡骸」と「日は陰り」の取り合わせは暗くなりすぎます。「日は陰り」を夕日の射した光景に変えたら光と影の対比が明瞭になります。
(添削) 縁側に蝉の亡骸夕日濃し
叱られて瀬戸の港の秋夕焼け 龍彦
叱られて家を飛び出し、埠頭で秋の夕焼けを見ている少年のやるせなさが伝わってきます。
糸瓜忌や我いつまでも伊予訛 孝枝
糸瓜忌と伊予訛の取り合わせはいいのですが、俳句は基本的に一人称の文学なので「我」は不要です。これを省くとぎくしゃくした日本語が滑らかになります。
(添削) 糸瓜忌やいまでも残る伊予訛
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第19回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「霧」
朝まだき霧笛幽かに夢に聞く (4) 龍彦
霧せまり行き交ふ人みなしかめ面 (3) まさ
霧深き比叡の山に若き君 (1) 南行
霧晴るる沖の船場に鴎舞ひ 徹
人の世は諸行無常や霧の中 博石
大山に霧立ち上る雨上がり 良
朝霧に守られ帰る家出の孫(こ) 真砂
当季雑詠
糸瓜忌や我いつまでも伊予訛 (4) 孝枝
子規球場塁を巡るはアキアカネ (4) 真砂
友の逝く無聊の日々や夏去りぬ (3) 徹
太陽のいっぱい詰まる柘榴の実 (3) 博石
叱られて瀬戸の港の秋夕焼 (2) 龍彦
野に遊びふるさと恋し曼殊沙華 (2) まさ
稲架組みて天日に晒す稲穂かな (2) 博石
遠浅の潮満ちきたり大夕焼け (1) 龍彦
寅さんのごと仰向きて見る月見草 (1) 博石
縁側に蝉の亡骸日は陰り (1) 徹
満月や眩しき窓辺秋の風 (1) 南行
風さやか銀杏ひろい散歩道 良
汗ばみて日陰を抜ける初夏の風 南行
初秋の空山城の天守閣 孝枝
一斉に香り漂う金木犀 良
日足伸び暮るる日々や秋近し まさ
無縁坂儚き想ひの雁渡る 真砂
音絶えて梵鐘幽か秋の暮れ 龍彦
台風一過競り落とされし柘榴かな 南行
秋深し檸檬の香マティーニ 良
二科展やデフォルメの顔誰かに似て 孝枝
獺祭忌偲んでまつるはじき豆 まさ
秋彼岸宿す想ひは山野越へ 徹
新しき郵便受けに秋の雨 真砂
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【講 評】 城下洋二 講師
季重なり(季跨り)の句が二十四句中七句ありました。
季重なりを一概に駄目とは言いませんが、推敲すれば別の表現できるものがほとんででした。
例えば「月」と言えば秋で他の季節の月は「春の」とか「冬の」とか形容詞をつけるのが俳句の約束ですので「秋」の形容は不要です。
俳句は十七音しか使えませんのでなるべく重複表現を避け、季語を生かして表現したいことを十分に詠んでください。
季語か季語でないかを簡単に調べる方法があります。歳時記もしくは季寄せの総索引を調べることです。
総索引は五十音順に季語が並べてありますので、そこで季語を調べて、季節を確かめてください。
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第20回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2022年1月8日(土)
御題:兼題「雑煮」1句及び当季雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
集合時間及び場所:未定
投稿締切:2022年1月3日(月)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」参加申込:上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
(2021/06/16) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第18回「蘇鉄の会」報告
未だ緊急事態宣言下の東京都、令和3年6月5日(土)に開催を予定していた第18回「蘇鉄の会」でしたが、新型コロナウイルス感染症収束の見通しのない状況が続いているため、今回もWEB上での開催となりました。
対面でのコミュニケーションが制約される毎日が続いておりますが、「俳句」は無限のイマジネーションの世界……。「五・七・五」は、多彩に多様に縦横無尽の拡がりと繋がりを生み出します。
全国の松山北高校同窓生の皆様、どうぞお気軽にご参加ください。
今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
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【選評と講評】 城下洋二 講師
<特選>
校庭に生徒整列楠若葉 孝枝
楠若葉でいかにも元気溌剌な生徒が想像できます。そして説明的でなく、
一読、初夏の学校の風景が見えてきます。
どくだみの匂ひ仄かに雨上がり 南行
雨上がりの情景を匂いで表現したところが素晴らしい。
雨上がりの十薬の白い花の咲き乱れた光景が目に浮かびます。
手植えする泥田の水の輝けり 真砂
気持のいい句。現代では手植えする田は棚田か催事の田ぐらいでしょうが、
田植えする姿と見事に晴れ渡った空が見えてきます。
花冷えや柱に残る背比べ 博石
花冷えという季語で背比べをした子供たちがもう大きくなったのが感じられ
ます。柱の傷を見て、幼い頃の自分或いは子供たちの記憶をよみがえらせて
いる作者のちょっと感傷的な心象風景が感じられます。
<並選>
薫風や母校の校歌口ずさみ 孝枝
薫風の爽やかさにふと青春時代を懐かしみ、校歌を口ずさむ。分かります。
春の野にスマホ持ち出し花の名を 良
花を写すと名前が分かるアプリ、便利です。現代の一風景。
路わたるカルガモのごと園児らは 龍彦
可愛らしい風景ですが、カルガモでは大人の鴨も指しますので、カルガモの子
とはっきり書きましょう。
(添削) 路わたる軽鴨(かる)の子に似て園児らは
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兼題「蝸牛(かたつむり)」
【講師選】
生垣や昔は良く見しかたつむり 良
生垣も少なくなりましたが、蝸牛もとんと見かけません。
生垣と蝸牛の取り合わせが懐かしい。
天守閣石垣攻めや蝸牛 真砂
天守閣の石垣を這う蝸牛を見て「石垣攻め」と大げさに表現したところが
面白い。ただ「天守閣石垣」では日本語としてなじまないのでここは上五
を字余りにして「天守閣の」と「の」を入れた方がいいと思います。
(添削) 天守閣の石垣攻めや蝸牛
かたつむり足跡残しかくれんぼ まさ
蝸牛の這った跡を見て、かくれんぼしていると発想したところが素晴らしい。
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講評
全体的に説明的な句が少なくなってきました。そして季語に心情や情景を語ら
せる句が多くなってきて、句に奥行が出てきております。次回が楽しみです。
※ 次回の兼題は、「霧」です。
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第18回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「蝸牛」
蝸牛狭庭の主のまだ現れず (4) 孝枝
背に重荷人の人生蝸牛 (1) 博石
雨上がり何処に隠れた蝸牛 (1) 南行
かたつむり足跡残しかくれんぼ (1) まさ
天守閣石垣攻めや蝸牛 (1) 真砂
生垣や昔は良く見しかたつむり 良
蝸牛雨後の一途は君の世ぞ 徹
カタツムリ我も迷いて歩みし春を 龍彦
当季雑詠
野球の子透き通る声夏来たる (3) 博石
どくだみの匂ひ仄かに雨上がり (3) 南行
宇宙の理赤く満ちたる夏の月 (3) 真砂
手植えする泥田の水の輝けり (3) 真砂
花冷えや柱に残る背比べ (2) 博石
校庭に生徒整列楠若葉 (2) 孝枝
路わたるカルガモのごと園児らは (2) 龍彦
万緑や紅一点の美しさ (1) まさ
山法師みどりに純白散歩道 (1) 良
これはまあ巨き桑の実石垣に (1) 龍彦
薫風や母校の校歌口ずさみ (1) 孝枝
風に舞う朝陽を浴びて鯉のぼり (1) 南行
庭隅に鉄砲百合のぱんと咲き (1) 真砂
パレスチナ永遠の契りを五月雨 徹
ほうき草コキアと名乗り人気者 良
神苑は緑を違え静もれり 孝枝
春の野にスマホ持ち出し花の名を 良
到来物今宵は皆と筍飯 徹
時移り草木もみんな衣替え まさ
冬超えて羽化せしアゲハ放ちけり 龍彦
ゆりかもめそっと寄り添い春の川 南行
養花天一日も長く花見酒 まさ
思い出は遠退くばかり月朧 徹
「地獄組」匠の技や山笑ふ 博石
第19回「蘇鉄の会」ご案内
日程:2021年10月2日(土)
御題:兼題「霧」1句及び当季雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
投稿締切:2021年10月2日(土)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
講評・選評:WEBにて受付の後、講評・互選結果発表
※メールにて上記締切までに俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」参加申込:上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
(2021/04/13) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第17回 蘇鉄の会 報告
2021年3月6日(土)、春の築地市場アトリウムにて開催を予定しておりましたが、諸事情により今回もWEB上での開催となりました。今回の参加は、講師を含む投稿者8名、全33句です。
城下洋二 講師選
兼題「木の芽」
【特選】
一と日づつ木の芽吹きたり陽の光 徹
(講評)「風光る」という季語があるように春の日の光は柔らかく明るい。
そして日一日と木の芽が膨らんでゆきます。
木の芽時の季節感を大きくとらえたところがいい。
【並選】
猫の行く木の芽ふくらむ谷中みち 真砂
(講評) 谷中という地名が効いている。
朝陽浴び木の芽の先に蒼き空 南行
(講評) 折角の素晴らしい光景が叙述的、説明的になっています。
「朝陽浴ぶ木の芽の先の蒼き空」
とすれば写真のようにその一瞬の光景を定着できます。
東雲の犬に引かるる木の芽道 博石
(講評)爽やかで健康的な日常
当季雑詠
【特選】
想い出に期限などなし春の星 孝枝
(講評)いつまでも想い出にしがみついているという悪口もありますが、
それに対して人それぞれと開き直った感じが面白い。
春の星でその思い出が潤いを帯びたものだと思わせます。
チェロ響く上野の森に春の月 真砂
(講評)きれいな光景です。ちょっと材料が整い過ぎているような気もしますが・・・。
霜柱地中に城を築きけり 博石
(講評)幼い頃霜柱を見て、地中帝国などを夢想したものです。
城を築きけりと断定したところがいい。
梅の蘂競いて空に背比べ 博石
(講評)細かいところに焦点を当てて、適格に描写しています。
【並選】
菜の花の供花子規に添ふ母の墓 孝枝
(講評)「添ふ」が分かりにくいです。
多分子規の墓の側に母の墓があるという意味なのでしょう。
だとすれば
「菜の花の供花子規の墓母の墓」
とすればすっきりとするのではないでしょうか
冴え返る一筋の雲里帰り まさ
(講評)里帰りが冴え返るようで里帰りそのものにドラマがあるように感じられて面白い。
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第17回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「木の芽」
東雲の犬に引かるる木の芽道 (3) 博石
猫の行く木の芽膨らむ谷中みち (2) 真砂
木の芽張る樹木の明るさ神の杜 (1) 孝枝
朝陽浴び木の芽の先に蒼き空 (1) 南行
一と日づつ木の芽吹きたり陽の光 徹
木の芽みそ熱燗片手に田楽とうふ 龍彦
木の芽和え時候の挨拶朝の膳 まさ
当季雑詠
チェロ響く上野の森に春の月 (4) 真砂
思い出に期限などなし春の星 (3) 孝枝
霜柱地中に城を築きけり (3) 博石
梅が香に連れ添ふ旅や夢の朝 (2) 徹
まどろみて雲の枕かふきのとう (2) まさ
東(ひんがし)の稜線燃え立つ刻(とき)待てり (1) 龍彦
梅の蕊競いて空に背比べ (1) 博石
烏瓜つる一本の命かな (1) 南行
蠟梅や枯れた蕾を囲む朝 (1) 南行
春寒に母の形見のスカーフ巻く (1) 真砂
鴨の群れ行く手はいづこ夕日影 (1) 徹
冴え返る一筋の雲里帰り (1) まさ
鉢の木に枝ゆれ残るメジロかな 龍彦
日記買ふ昭和を遠く置いてけり 徹
揚雲雀垂直飛びの技冴えて まさ
吊し雛息通はせばしくと揺れ 孝枝
すれ違ういぬ着膨れてとりどりに 龍彦
菜の花の供花子規に添ふ母の墓 孝枝
近づけば桜にあらず真弓の実 博石
とぼとぼと老犬を引く冬の朝 南行
ひっそりと里帰りなき雛祭り 真砂
第18回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2021年6月5日(土)
御題:兼題「蝸牛(かたつむり)」1句及び当季雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
集合場所:(新型コロナの状況により、現在のところ、WEB開催予定)
投稿締切:2021年5月30日(日)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」会員募集:上記メールアドレスにお申込み下さい。
入会資格:愛媛県県立松山北高校卒業生
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
(2020/12/23) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第16回 蘇鉄の会 報告
2020年12月5日(土)、初冬の殿ヶ谷戸庭園にて開催予定の第16回「蘇鉄の会」は、新型コロナウイルス感染症予防のため、密となる会合を回避してWeb上で行いました。今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
城下洋二 講師 句
城下洋二 講師選
兼題「時雨」
特選
島影に小舟の急ぐ瀬戸しぐれ 博石
並選
猫二匹軒下で待つ夕時雨 真砂
当季雑詠
特選
子犬一匹家族に加え冬ぬくし 孝枝
小柴さん宙に還りし秋の暮 徹
ひとつづつ蜜柑摘む音軽やかに 博石
並選
北壁に夕日眩しき暮の秋 南行
茶の花や園の一隅明るくす 孝枝
米粒を嘴に付け寒雀 南行
旧友に文書く窓辺冬の月 真砂
【選外選評】
特選、並選には選ばれなかった句で、若干添削をしてみました。
参考にしてみて下さい。
…………………………………………
時雨降る心も濡らすコロナの今 (まさ)
語順を変えるだけで下の字余りを消すことができます。
(添削例)
コロナ禍の心も濡らす小夜しぐれ
俳句はなるべく動詞を少なくする方が、説明的でなく、リズムが
良くなります
…………………………………………
クリスマス個々に用意し孫四人 (良)
「用意し」と入れることで、句全体が説明的になりますし、何を用
意したのか分からないので、省略した方がいいでしょう。俳句は基
本一人称の文学なので、特段書かなければ、なされた行為は作者自
身ということになります。用意したのが贈り物という風に解釈して
添削してみました。
(添削例)
孫四人個々にサンタの贈り物
…………………………………………
うたた寝のふと顔上げて時雨聴く (龍彦)
中七の「ふと顔上げて」が不自然に思えます。
「時雨聴く」の表現はいかにも静かな雰囲気を醸し出しています。
(添削例)
うたた寝の覚めて枕に聴く時雨
…………………………………………
【講評】
今回追悼句がありましたので、一言。
追悼句で大切なのは一つには、その人の業績や人となりを表すこと、
もう一つは亡くなった人に相応しい季語を贈ることです。
過去の名句をいくつか挙げておきます。ご参考にしてください。
碧梧桐追悼
たとふれば独楽のはぢける如くなり 高浜虚子
悼斉藤茂吉先生
残雪や「くれなゐの茂吉」逝きしけはひ 中村草田男
芥川龍之介の長逝を深悼す
たましひのたとへば秋の螢かな 飯田蛇笏
十月未明に発たれたれば 莫山先生
お柩の丈に秋明菊剪らむ 黒田杏子
十二月十日 小沢昭一先生
ひとり芝居の八十余年しぐれ虹 黒田杏子
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第16回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「時雨」
島影に小舟の急ぐ瀬戸しぐれ 博石 (5)
しぐるるやふる里とほしけふもなほ 徹 (1)
うたた寝のふと顔上げて時雨聴く 龍彦 (1)
猫二匹軒下で待つ夕時雨 真砂 (1)
時雨るるも家庭菜園散水す 良
時雨降る心も濡らすコロナの今 まさ
コロナ禍に震える会議初時雨 南行
時雨るるや鉛筆2B苦吟せり 孝枝
当季雑詠
子犬一匹家族に加へ冬ぬくし 孝枝 (5)
米粒を嘴に付け寒雀 南行 (3)
新しき住まいに飾る寒椿 真砂 (3)
旧友に文書く窓辺冬の月 真砂 (3)
北壁に夕日眩しき暮の秋 南行 (2)
ゆく秋や徒然草を道連れに 博石 (1)
寒立ちの馬にしあらめ除夜の鐘 龍彦 (1)
茶の花や園の一隅明るくす 孝枝 (1)
初釜や背筋正して山呑まむ 龍彦 (1)
ひとつづつ蜜柑摘む音軽やかに 博石 (1)
衣かつぎほどよきサイズ熱燗で 龍彦 (1)
鶺鴒の飛沫を浴びて石叩く 博石 (1)
甘きかな小さき蜜柑ふるさとの 真砂 (1)
晩秋やこの時だけの装いを まさ
共演す鰯雲に飛行機雲 徹
青空に皇帝ダリア映え映えと 良
裸木となるカエデの小さき命見る まさ
クリスマス個々に用意し孫四人 良
小柴さん宙へ還りし秋の暮 徹
ひとしきり落葉の洗礼受けており 孝枝
冬の風揺れる杉玉みずみずし まさ
シラス漁秋も漁期や斎灘 徹
落ち葉掃き腐葉土作り春を待つ 良
窮すれど小春日和は長閑なり 南行
以上
第17回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2021年3月6日(土)(時間は未定)
御題:兼題「木の芽」1句及び当季雑詠3句 計4句
場所: (未定)
参加費:5千円(予定)
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2021年2月25日(木)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員は既に予約数に入っています。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2021年2月25日(木)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
尚尚
(2020/11/23) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
令和2年12月5日(土)12:30より、国分寺市の殿ヶ谷戸庭園にて開催を予定していました第16回「蘇鉄の会」は、新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらないため、殿ヶ谷戸庭園での句会は中止とし、予定を以下のように変更させていただくこととなりましたのでお知らせします。
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【第16回「蘇鉄の会」Web開催ご案内】
御題:兼題「時雨」1句(※)
当季雑詠…3句
(全4句)
投稿締切:2020年12月5日(土)までに、メールにて長島までお送りください。
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(2020/09/26) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第15回 蘇鉄の会 報告
新型コロナウイルス感染症の鎮静化の兆しも見えない状況が続いているため、第15回「蘇鉄の会」(2020年9月12日(土))もWeb上開催となりました。
愛媛県立松山北高校同窓生の皆様、ふるってご参加下さい。
人と人との繋がりが分断化される中でも、「蘇鉄の会」は、人知れず健やかに深く広大かつ多様な世界を共有しています…。
尚、今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
講師選
兼題「月」
特選句
外出自粛空に真っ白夏の月 博石
並選句
縁側で祖母と遊んだ盆月夜 まさ
会へずとも共に眺める盆の月 真砂
当季雑詠
特選句
新スマホ孫に教はる梅雨晴間 徹
蔦みどり飲込まむとすビル一つ 龍彦
線状降水帯天の川さへ氾濫す 博石
並選句
休暇果つ背丈の伸びて乙女さぶ 孝枝
コロナ禍の関係者のみの秋祭り 良
燈下親し新刊本の匂ひ掌に 孝枝
互選結果( )内数字は得票数
兼題「月」
会へずとも共に眺める盆の月 真砂(6)
昏れなずむ昏き島影月の道 龍彦(1)
外出自粛空に真っ白夏の月 博石(1)
縁側で祖母と遊んだ盆月夜 まさ
三日月や夜空にきらり鎌のよう 良
窓の外秋風そよと月明かり 南行
盆の月ふるさとへの旅叶わざり 孝枝
湯けむりに胃国語交ふや宵の月 徹
当季雑詠
燈下親し新刊本の匂ひ掌に 孝枝(3)
うつし世をしばし忘れて夏の夢 南行(2)
線状降水帯天の川さへ氾濫す 博石(2)
休暇果つ背丈の伸びて乙女さぶ 孝枝(2)
硯洗ふ恋文書きしこともあり 孝枝(2)
蜩や玉川疎水上ぼりゆく 真砂(2)
鳳仙花はじけて夏の終わりかな 真砂(2)
コロナ禍の関係者のみの秋祭り 良 (1)
蔦みどり飲み込まむとすビル一つ 龍彦(1)
橋半ば叫び尽きたるあぶら蝉 南行(1)
朝顔のカーテン揺らぎ風さやか 博石(1)
妻の干す梅はほのかに母の影 徹 (1)
野分去り木漏れ日浴びて散歩道 良 (1)
夏の日のうたげ華やぐ酔芙蓉 龍彦(1)
雨上がり蝉一斉に大合唱 良 (1)
蒼天を皇帝ダリアつらぬけり 龍彦 (1)
光淡し遠くに見ゆる漁り火や まさ
新スマホ孫に教はる梅雨晴れ間 徹
ゆきあいの空にかかるやいわし雲 まさ
百合の花膨らむ蕾恥じらゐて 博石
腹を出す魚とじゃれ合う川鵜かな 南行
永遠の夏呼ばれし花や撫子か まさ
真夜中や蝉の声止む配達夫 徹
秋めいて差す陽伸びるや籠る日々 真砂
城下講師講評
今回季重なり、季跨りの句が散見されたが、季重なり・季跨りが一概に駄目とは言わないけれど、安易に使用するのは避けたい。
季重なりや季跨りは句の焦点がぼやけたり、二重説明になったりすることが多いので、推敲されたい。
以上
第16回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2020年12月5日(土)(時間は未定)
御題:兼題「時雨」1句
当季雑詠3句 計4句
場所: 殿ヶ谷戸庭園(予定)
参加費:5千円
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2020年11月25日(水)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員は既に予約数に入っています。
愛媛県立松山北高校同窓生の皆様、ふるってご参加下さい。
当日、会場参加できない方は、Web参加も可能です。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2020年11月25日(水)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
(2020/06/13) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第14回 蘇鉄の会 報告
2020年6月6日(土)第14回「蘇鉄の会」をWeb上にて開催いたしました。。
今回は、新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、東京都は「緊急事態宣言」発令下にあり、予定の築地場外市場での開催を急遽変更し、Web上での開催となりました。
初めてのオンライン開催及び選考でしたが、外出自粛期間中は時間がたっぷりあり、投稿された一句一句を繰り返しゆっくり味わい楽しむことができました。
今回は、講師を含む投稿者9名、全36句の参加となりました。
講師選
兼題「五月雨」
特選句
五月雨や耳聡くなる眼を病めば 孝枝
並選句
五月雨や祇園芸妓は人力車 徹
五月雨や家族集まるオンライン 真砂
当季雑詠
特選句
若葉風面変わりして少年は 孝枝
恩師逝くお好きなアザミ咲いた夜 真砂
栴檀の花ほころびてふと論語 博石
並選句
初燕空を十字に刻みけり 博石
コロナ禍にミズスマシのごと宅配車 龍彦
花柄の手作りマスク五月晴れ 真砂
互選結果( )内数字は得票数
兼題「五月雨」
五月雨にユスラ眺めし幼き日 龍彦 (2)
五月雨や時代小説漁る日々 博石 (2)
五月雨や家族集まるオンライン 真砂 (2)
五月雨や耳聡くなる眼を病めば 孝枝 (1)
五月雨にマスクのお方と舫い傘 南行 (1)
五月雨や手塩にかけし薔薇香る 良一
五月雨や踵を濡らす帰り道 匡
五月雨や祇園芸妓は人力車 徹
当季雑詠
初燕空を十字に刻みけり 博石 (5)
若葉風面変わりして少年は 孝枝 (3)
蚕豆は偶にはうすく塩加減 徹 (2)
泰山木空に向かいて大輪花 まさ (2)
栴檀の花ほころびてふと論語 博石 (2)
残雪の路地奥たたずむ古地蔵 龍彦 (1)
春寒く在校生の声に泣く 南行 (1)
月見草昔遊んだ線路みち まさ (1)
春の空天守見下ろす鳶かな 南行 (1)
恩師逝くお好きなアザミ咲いた夜 真砂 (1)
篝火の川面に映えて鵜は踊る 徹 (1)
花菖蒲貴婦人のごと凛と咲き 孝枝 (1)
コロナ禍にミズスマシのごと宅配車 龍彦 (1)
雨うけてはなやぎゆれる十薬花 真砂 (1)
花柄の手作りマスク五月晴れ 真砂 (1)
春の雨花枝散らして描く絵文字 博石
薫風にコスモスゆらり長閑なり 良一
薫風や消えゆく雑踏影もなく 徹
人静か銀座通りは春の雪 南行
暗闇にひそかに香る檸檬かな 良一
夜の新樹吾を待つごとく門の傍 孝枝
夏帯や去年を想いし眺めおり まさ
公園に子らに負けじとホーホケキョ 龍彦
五月晴れ晴ればれ泳ぐ鯉のぼり 良一
城下講師講評
以上
第15回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2020年9月12日(土)10:00~13:00
御題:兼題「月」(※)1句及び当季雑詠3句 計4句
(※)次回の兼題は「月一切」です。月はもちろん、盆の月、名月等々、歳時記に多く月の季語が載っていますが、どれでも構いません。(城下講師)
場所: 向島百花園(予定)
参加費:5千円
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2020年8月30日(日)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員10名は既に予約数に入っています。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2020年9月5日(土)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
(2020/02/10) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第13回「蘇鉄の会」報告 及び次回開催案内
2020年2月8日(土)12:00より、築地にて第13回「蘇鉄の会」を行いました。
今回は、兼題「草餅」1句、当季雑詠3句の投句、講師を含む投稿者11名、全44句の参加となりました。
城下洋二 講師句
選句の結果は次の通り。
講師選句の結果
特選句
兼題「草餅」……なし
当季雑詠
初春や打ちましょうかと女流棋士 修二
冬うらら甍連なる大嘗宮 博石
春夕焼けポンポン船は潮に乗り 徹
初詣合格祈願の絵馬納む 孝枝
並選句
兼題「草餅」
幼子の大口あけて蓬餅 真砂
当季(冬又は春)雑詠
神宮の大き静寂や淑気満つ 孝枝
ふかふかの雀も遊ぶ冬日向 南行
堀端を廻るトラムや春立ちぬ 真砂
囀りの天に到るか高尾山 真砂
互選の結果
兼題「草餅」
長閑なり草餅食って茶をいっぷく 良 (3)
草餅や香り懐かし母の味 まさ (2)
幼子の大口あけて蓬餅 真砂 (2)
蓬餅夢追い駆けた野原かな 南行 (1)
祖母の味苦き懐かし蓬餅 博石 (1)
草餅や一つを残し遺影の母 徹
神苑や草餅作る蓬摘む 孝枝
草餅の香を懐かしむ昼下がり 徹一
よもぎ餅母命日ぞ仏壇へ 龍彦
草餅を取り上げ眺め戻し置き 修二
当季(冬又は春)雑詠
ふかふかの雀も遊ぶ冬日向 南行 (4)
春夕焼ポンポン船は潮に乗り 徹 (3)
冬うらら甍連なる大嘗宮 博石 (2)
野に遊び春の香りを身に纏う まさ (2)
囀りの天に到るか高尾山 真砂 (2)
桃節句りんまんしょゆ餅母の顔 龍彦 (1)
園児らの寒気に負けぬ笑い声 徹一 (1)
故郷の勝岡神社初詣 良 (1)
ツバメの巣軒先仰ぎ戻り待つ 修二 (1)
満天星の花を飾りの石灯籠 真砂 (1)
白き息車椅子押す老いた夫 博石 (1)
初春や打ちましょうかと女流棋士 修二 (1)
春筍に鍋いっぱいの笑顔かな 龍彦 (1)
初参り並ぶ寒さに月ひとつ 南行 (1)
汽笛音暫し戯れ土筆摘む 徹 (1)
身をちじめやがて来る春待つ蕾 修二 (1)
神宮の大き静寂や淑気満つ 孝枝 (1)
初詣合格祈願の絵馬納む 孝枝
初富士やたたなつく雲したがえて 孝枝
せいこ蟹外子内子と舌鼓 南行
どんど焼き火の粉と道連れ願いづこ まさ
二の酉や手締め手拍子華やぎて 博石
節分や豆の数だけ歳を取り まさ
衣更着の装い決めた朝の富士 徹一
三浦では七草粥を振舞われ 徹一
冬空に飛行機雲や一直線 良
初孫の祝い膳なり道後の湯 南行
堀端を廻るトラムや春立ちぬ 真砂
城下講師講評
※「りんまん」「醤油餅」とは、愛媛県松山市や北条市近辺で桃の節句頃に、上新粉を材料に各家庭で作られた蒸し餅。
現在は、松山市西一万町にある「いち万堂」にて手作り品が販売されているとのことです。(画像は、「いち万堂」ホームページから)
豊洲・築地に精通されている宮下さんのご案内で、築地場外市場界隈を見学しました。
第14回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2020年6月6日(土)10:00~13:00
御題:兼題「五月雨」1句及び当季雑詠3句 計4句
場所: 築地場外市場アトリウム
参加費:5千円
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2020年5月30日(土)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員10名は既に予約数に入っています。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2020年5月31日(日)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
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